About JSME学会について

 会長挨拶 


 本学会は、道徳の時間の特設に先んずる1957(昭和 32)年に同人組織として発足して以来、道徳教育研究の中核的な役割を担う学会として65年にも届く息の長い歴史を刻んできました。 その最大の特色は、大学や研究機関等に所属する会員のみならず、幼稚園、小中高 等学校、特別支援学校や各種教育団体等の会員も多数所属し、理論的背景と実践的なリアリティを生かし合って磨き高める風土が培われてきていることです。
 時代は、昭和、平成を経て、令和となり、道徳教育もその要としての役割を果たす道徳の時間が「特別の教科」である道徳科が全面展開となり、その量的確保と質的転換に向けた取組みが名実ともに新たなステージに入っています。 ところが、その出鼻をくじくような新型コロナ禍が波を打つように押し寄せ、いまだ厳しい状況の中です。このような時だからこそ、私たちは、新たな日常に求められる姿を探究し、ポスト・コロナを見据えた教育課題に向き合っていかなくてはなりません。
 そこで、本学会では、2021(令和 3)年度に「次世代育成」WGを立ち上げ、学会運営や道徳教育研究の活性化への課題を整理いただき、それを報告書や提案として示していただきました。 また同年度、「教科教育学コンソーシアム」の一員として参画することとし、そこでの知見も手掛かりとしながら、道徳教育の学問としての角度からの在り方を深め、いわゆる「道徳教育学」の性格を一層明確にする営みにも力を入れ始めているところです。
 そのような中、このたび、2022(令和 4)年度の会員総会(6月26日開催)にて新たな活動方針と組織体制の審議がなされ、皆さんに承認いただきました。私自身は発信力不足のままに、いまだに緊張の思いが緩みませんが、 多くの先達が累々と築かれてきた活動の礎を支えとして、何よりもチームの協働力を活力としながら、道徳教育研究の前途を照らし、道徳教育実践の後押しとなるような企画の展開に共に注力してまいりたいと念じています。 そして、それらを通して、本学会が一人一人の研究活動の一層価値ある実現の場となればこの上ないことと考えております。
 どうぞ、皆様からの忌憚のないご意見と率直なご要望をお寄せいただくとともに、引き続きご指導とお力添えをいただけますようよろしくお願いいたします。

永田 繁雄